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吉井 文男
J. Radiat. Steril., 1, p.171 - 194, 1993/00
医療用具素材の照射劣化について、特にポリプロピレンは照射に対し極めて劣化しやすい。本報告では、ポリプロピレンの劣化の抑制法について、これまで報告したデータを中心に総説としてまとめた。1)電子線滅菌はガンマ線滅菌に比べ酸化が起きにくいので劣化が抑制できる,2)ポリマーのモルホロジーの観点から抑制法を見出した。プロピレンにエチレンを2~8%共重合した共重合体と成形後急冷により得た試料は、耐放射線性に優れている。ポリプロピレンの透明性と成形サイクルを上げるために添加する造核剤は劣化を促進するので、放射線滅菌を目的とした場合は添加は好ましくない。
須永 博美
放射線化学, (54), p.60 - 61, 1992/00
国内で初めて10MeV級の電子リニアックを放射線プロセシング用に導入したホギメディカル江戸崎滅菌センターを5月20日に訪問した。ホギメディカル社は病院の手術室で用いる覆布や手術着を中心としたディスポーサブルの製品を医療機関に提供してきた会社で、その製品の滅菌を今までのエチレンオキサイドガスによる方法から、この電子リニアックを用いた電子線照射法に転換しつつある。導入された電子リニアックはフランスCGR-MeV社製のサース(CIRCE)-II型で10MeV, 20kWの出力を有し、この4月から照射処理を開始した。
渡辺 祐平; 伊藤 均; 石垣 功
防菌防黴誌, 17(7), p.311 - 317, 1989/00
医療用具の電子線滅菌を実用化するために、B. pumilus E601株の芽胞の電子線に対する基本的性質について線の場合と比較し、検討した。照射前のB. pumilus芽胞を乾燥状態で保存した場合には、安定した放射線感受性を与えたが、高温度下では保存中に菌数が減少するほか、放射線感受性も増大した。一方、照射芽胞は乾燥状態で保存しても不安定であり、見掛けの感受性は貯蔵期間が長くなるにつれて増大した。
伊藤 均; 田村 直幸
食品照射, 20(1), p.13 - 17, 1985/00
医療器具等のガンマ線滅菌は実用化が急速に進展しているが、電子線滅菌の研究はわが国ではほとんど行われていない。本研究では滅菌指標菌を用いて各種条件下でのガンマ線及び電子線感受性を比較して滅菌効果について検討した。Bacillus pumilus E601株に線を照射した場合、小牛血清やペプトン等を添加した乾燥炉紙片でのD値は好気的条件下では0.16Mradとなり、無添加との差は認められなかった。一方、真空包装するとD値は0.20Mradとなり、血清ペースト中では0.41Mradとなった。Streptococcus faecium Al株のD値は0.28~0.35Mradとなり、血清ペースト中では抵抗性は著しく強まった。電子線照射したB.pumilusの生存曲線は線と異なり、小さな肩を持つシグモイド型に変わったが、D値は0.16Mradとなった。2MeVの電子線はプラスチック板の0.5cmの深部まで均一に滅菌でき、3MeVでは1cm以上の深部まで滅菌できた。St.faeciumの抵抗性も線より若干強くなった。